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アクセシビリティカンファレンス福岡2025に行ってきました!

ミント

ミント

デザイナー

アクセシビリティカンファレンス福岡のロゴ、2025年のテーマ「つながるせかい」と書かれた画像

こんにちは!カラビナテクノロジーのアクセシビリティチーム所属のデザイナー、ミントです。 今年も秋(冬?)の恒例、アクセシビリティカンファレンス福岡に行ってきました。 今回のレポートはデザイナーのjyotiさんと2人で共作です!寂しくない😄 jyotiさんがボランティア参加、私が一般参加をしてみたレポートです!

カンファレンスの概要

2025年12月6日土曜日に福岡の警固神社社務所ビルで行われたこのカンファレンスでは、Webやアプリだけでなく色々なアクセシビリティ向上に関心のある人たちが集まり、さまざまな視点からのセッションが展開されました。 ほぼ満席になっているカンファレンス会場の様子会場は今回もほぼ満員!

そして 今回から実行委員長がカラビナテクノロジーのミスティさんになりました〜〜〜!!! すごい! 博多名物にわかせんぺいを持ちながらカンファレンスの進行をするミスティさん 会社では「緊張する〜」って言ってたけど、開会式では博多名物にわかせんぺいを紹介しながら堂々とカンファレンスの進行を務められていました👏

アクセシビリティカンファレンス1週間前

カラビナテクノロジーは今回シルバースポンサーとして参加しました! アクセシビリティカンファレンスが近づくにつれ、たくさんの荷物がどんどん会社に届いていきます。会社にいるメンバーもカンファレンスのチラシの封入作業などなどを手伝ってくれました。 写真:ダンボールや機材で手前のテーブルが埋まっている様子。奥のテーブルで社員2名がチラシの封入作業をしている。 チラシを詰め詰め 写真:テーブルに並べられた9種類のチラシを手に取るミスティさん ミスティさんもチラシを詰め詰め

カンファレンスでの配布物では2025年から開始のアクセシビリティ向上支援サービスtra11y(トレイリー)のチラシも入っています! 写真:会場でトレイリーのチラシなど配られたチラシ数枚を扇形に広げて左手で持っている様子。

写真:壁にトレイリーのポスターのほか、スポンサー企業のポスターが横並びで貼られている様子 会場にもポスターを展示しました。 去年に引き続き、デザイナーのjasminさんが作成です!可愛い!

【CM】アクセシビリティですべての人につながる道を作っていきたいトレイリーについてはこちらを読んでくださいね👇 誰もが使いやすいものを、日本でも当たり前につくりたい! アクセシビリティ向上支援チームtra11y(トレイリー)誕生秘話

ボランティアとして参加して感じたこと

デザイナーのjyotiです。今年、初めてボランティアとしても参加しました! まず驚いたのはボランティア・運営に携わっていたメンバーが、とても熱量の高い人ばかりだったことです。会場準備の段階から、どうすればよりアクセシブルにできるかをみんなで真剣に試行錯誤していました…!

特に覚えているのが、手話通訳者の背景の調整です。窓からの日差しが逆光になって手話通訳者の視認性を下げてしまうため、椅子を使ったり暗幕の張り方を細かく調整したりして見えやすさを調整していた点が印象的でした。 写真:スクリーンを見て左手に設置した手話通訳者による同時通訳の様子。手話通訳者の後ろに暗幕が張られている。参加者・ボランティア・運営のメンバーの熱量に触れて、とても良い刺激を受けることができました!

当日のカンファレンス会場の様子

写真:スポンサーの各ブースに人が集まっている様子 今年も様々なスポンサーさんがブースに出展されています。 ロービジョン体験ブースなど、セッションの間に色々と巡ることができます。 写真:PLAIDさんのブース。テーブルに赤い生地に白字で「PLAID」と書かれたテーブルクロスがかけられ、パネルにシールを貼る形式でアンケートをとっている。ノベルティを配布している。PLAIDさんのブース。 アクセシビリティカンファレンス福岡に参加されている人はエンジニアさんが多いんですね〜! 私もデザイナーのところにシールをぺたり。

さあもうすぐセッションが始まりますよ〜〜!

セッション1:アクセシビリティでつながるせかい

このセッションでは、障害者専門のクラウドソーシングサービス「サニーバンク」で働く岡上洋子さんが、アクセシビリティを軸にした働き方と、障害のある人と共に働く中で見えてきた社会の課題についてお話しされました。

障害のある人と共に働くということ

サニーバンクでの仕事は、障害のあるワーカーさんと一緒に働くことを前提として仕組みが作られています。基本的に作業はリモートで、連絡はメールやWebアプリを通じて行われ、講習会や説明会、打ち合わせなども多くはオンラインで実施されています。一定の期間内に、各自が都合の良いタイミングで作業やレポートを行い、納品するスタイルが基本です。インタビューやレビュー会もオンラインが多く、対面が必要な仕事は一部に限られています。

そんな中でも、クライアントさんから提供された資料がスクリーンリーダーで読めないことや、指定されたツールが使いづらいといった問題があるそうです。ツールの変更が難しい場合には、事務局スタッフが指定ツールで整えて納品する対応を取っているそうです。こうした問題は、「障害のあるワーカーさんと働くから発生する」と考えられがちです。 スライドの画像。以下内容。「でも、障害関係なく同じ。例1:クライアント様からいただいた資料がスクリーンリーダーで読めない→所管省庁から降りてきた指示書(依頼)がその担当者向けの書き振りになっていなくて、その指示を遂行するためにはそのまま関係各所に下ろすのが難しい→その関係部署にあった形の資料を作成する、関係各所担当者へ説明会を行う。例2:利用を求められるツールが使えない/使いづらい→利用しないといけないシステムが難解。関係部署ごとに使う機能が限られていたりして、自分の部署には必要のない機能が多く感じる。→必要な情報を各部署ごとにエクセルなどに取りまとめて提出してもらって、それをシステム主担当が入力する/担当部署の利用に沿ったマニュアルを別途作成する しかし障害のない人同士であっても、分かりにくい指示書の修正や、異なるシステムへの対応は日常的に起きています。 ここで大切なのは、障害を特別視することでも、なかったことにすることでもないという点です。

アクセシビリティにおける「障害の社会モデル」

「障害の社会モデル」とは、障害の原因を個人に求めるのではなく、社会の仕組みや制度にあると捉える考え方です。

サニーバンクのワーカーの方々は高いスキルを持ち、環境が整えば十分に活躍できます。しかし、現実の社会はまだその環境が整っていません。また、医療や福祉制度のためには「医学モデル」としての障害の考え方も必要であり、岡上さんはどちらか一方に偏るべきではないとも言われていました。バランスが難しい…!

アクセシビリティを学ぶことは「自分にとっての常識が、誰かにとっては常識ではないかもしれない」と知ることなのだ

岡上さんのお話の中で特に印象に残ったのが、障害のある方が付き添いの方と行った際の窓口対応や謝礼の受け取りの場面についてのエピソードでした。本人がその場にいるにもかかわらず、付き添いの人に話しかけたり、謝礼を渡したりしてしまう。対応する側にとっては親切心からの行動なのかもしれませんが、障害のある人にとっては「何もできない存在」として扱われていると感じてしまうことがあります。 自分では良かれと思ってやっていることが、知らないうちに誰かを傷つけたり、排除してしまったりする可能性がある。その事実に向き合うことは、正直あまり気持ちの良いものではありません。でも、だからこそ目を背けずに気づくことが大切なのだと思いました。 岡上さんが大切にしているという「気づいたら謝ること」、そして「学び続けてアップデートし続けること」という姿勢にも、深く共感しました。完璧であろうとするのではなく、間違えたら認めて、次に活かしていく。その積み重ねがアクセシビリティにつながっていくのだと感じます。 セッションの最後の言葉。「まだ自分の知らないことはたくさんあり、まだ出会っていない人もたくさんいる」その前提に立ち続けることが、誰かと一緒に生きていく社会では欠かせないのだと、このセッションを通して改めて考えさせられました。

セッション2:ユニバーサルツーリズムの話

セッション2はAccessible Japan(アクセシブル・ジャパン)を運営されているグリズデイル・バリージョシュアさんによる「最強のおもてなし」についてでした。

私たちの世界は多数派を前提としている

前段で語られていたのは、私たちの世界が多数派を前提としているという多くの実例でした。

  • Suica のタッチ位置は右側
  • トイレットペーパーホルダーも多くは右側

4歳から車椅子で生活されているジョシュアさんの実体験は、私たちが普段いかに多数派として快適な生活を送れているかを実感させられるものでした…。

  • 電車の乗り換えがうまくいかないことを考慮して、地図アプリの移動時間に30〜45分ほど余裕を入れること
  • 行きたい飲食店が狭かったり段差があって入れないこと
  • 旅行のたびに、車椅子でも宿泊できる施設などを細かく調べないといけないこと

そんな状況においてもジョシュアさんは、趣味の旅行を通して、ユニバーサルツーリズム、「誰もが安心して旅行できる世界をつくる」ことを目指しています。

ユニバーサルツーリズムは市場としてもポテンシャルがある

障害の有無に関わらず、ジョシュアさんのように旅行が趣味の人は沢山います。

さらに障害がある人は、休憩を挟むため健常者よりも平均の宿泊数と滞在時間が長い傾向にあります。また、同伴者が必要なケースもあり、結果的に消費額も大きい傾向があります。

つまり、アクセシブルにするほどビジネスとしてもチャンスがあるということです! 障害のある方が休暇の際に考慮する事項についてのスライド。重要視されている順番はバリアフリー度、公共交通機関、自然/アウトドア、観光名所、料理、ナイトライフの順であった。

日本のユニバーサルツーリズムは実は進んでいる

日本のインフラやサービスの中では、他国と比較してかなり進んでいる一面もあることが分かりました。

  • 電車のスロープ対応や、駅員さんによる案内
  • 点字ブロック(日本発祥)
  • 誰でも使える多機能トイレ
  • スロープ付きの人力車・水牛車!

一方で、バリアフリールームはまだ圧倒的に不足していたり、情報が公式サイトに載っていなかったりと、改善の余地も大きいとのこと…!

アクセシビリティ情報をサイトに載せるだけで、救われるユーザーが確実にいる。Webをつくる側としてこの視点を大切にしていきたいと感じました。

セッション3:アクセシビリティ推進という山登りを支える――理念を道しるべに

本セッションでは、宮本采佳さんがこれまでの実務経験をもとに、アクセシビリティ推進を「山登り」にたとえながら、その過程で直面してきた現実や葛藤、そして活動を支えている理念について語りました。

アクセシビリティ推進は「山登り」に似ている

スライドの画像。タイトルは「アクセシビリティ推進は山登りに似ている」。1. 取り組んでいくほど、山登りのように感じる、2.アクセシビリティ向上=実際に一歩ずつ山を登っていくこと、3.アクセシビリティ推進=アクセシビリティ向上を含む、山登り自体を推し進めること 宮本さんは、アクセシビリティ推進は「山登り」に似ていると言います。一歩ずつ登る大変さがあり、登頂の達成感もある一方で、登頂がゴールではありません。登っていく途中で、次の山(たとえばユーザビリティの課題)が見えてくることもあります。

山の登り方には、現場から少しずつ改善を進める「ボトムアップ」と、組織として方針を決めて進める「トップダウン」があります。ボトムアップでは、自分の立場でできることから始め、チームを巻き込みながらプロジェクトの初期段階からアクセシブルな状態を目指します。一方トップダウンでは、競合との差別化や法改正をきっかけに、組織としてアクセシビリティに取り組むケースが見られるそうです。

推進の現実と悩み

宮本さんがアクセシビリティ推進の中で特に意識してきたのが「伝え方」だといいます。改善案やガイドラインは受け取る側のリテラシーに合わせて書く必要があり、強い言葉を使わず、アクセシビリティの重要性を会社の理念と結びつけて伝えることを大切にしているそうです。

「豊かさ」とは、「選べること」

「アクセシビリティの正しさは、伝え方次第で相手を責める“マサカリ”になってしまうことがある」。この言葉は、私自身が日頃感じている悩みそのものでした。「同じことを思いながら活動している人がいるんだ」と感じ、心が少し軽くなりました。伝え方って、本当に難しい。

活動を続ける中で迷うことがあっても、宮本さんを支えているのは、「人々の成長のきっかけとなり、社会を豊かにしたい」という理念だそうです。宮本さんが考える「豊かさ」とは、「選べること」。選択肢があることは自由であり、その自由は人生の可能性を広げます。たとえば、同じサービスであっても、複数のアプリの中から自分に合ったものを選べること。アクセシビリティは、誰もがそうした「選べる状態」に近づくための土台なのだと感じました。

また、「アクセシビリティに取り組まないという選択もできる。それは自由だが、そこには責任が伴う」という言葉にも強く印象を受けました。自由であるからこそ、その選択の結果に向き合う必要があるのだと思います。

誰でも発信でき、作れる自由があるウェブだからこそ、その自由の中で責任を引き受け、普遍性という「ウェブの本質」を実現することを選ぶ。それがアクセシビリティ推進なのだと、宮本さんは語っていました。その言葉は、自分自身のこれまでとこれからの選択を、そっと後押ししてくれるようでした。アクセシビリティ推進、頑張るぞ!

セッション4:WCAGのこれまでとこれから、海外実務のリアル

セッション4は、株式会社インフォアクシア代表の植木 真さんによる「WCAGと先行する海外からの学びを実践につなげる」でした。

WCAGの成り立ちと、WCAG3.0へのアップデート

まず驚いたのは、日本が WCAG 2.0 の国際提案に関わっていたという話です!

「日本語特有の問題」として扱われがちな読み上げや発音の課題が、提案によって国際規格にきちんと取り込まれていました。

提案によってWCAG2.0に取り入れられた基準

また、WCAG 3.0 はまだドラフトの段階ですが、大きくアップデートされるとのことで、内容を少しだけ教えてもらえました。

まず対象は、Web以外の「モバイルアプリ・電子書籍」「XR / VR」など含めたデジタルコンテンツ全般へ!

基準内容が大きくアップデートされるため、その分策定に時間を要しているようです。リリース時期の目安は2030年前後とのことでした。

また、2.x より基準自体を「分かりやすく作る」ことを重視し、GitHub で誰でも質問・Issue を投げられるようにしているとのこと。

専門家以外の人たちも気軽に関わることができる開かれた場によって、さらにアクセシブルな基準が作られるのでは、という期待が高まりました!

当事者のニーズはひとつではない

次に驚いたのは、同じような障害を持つ当事者の中でも人によってニーズはバラバラであること。

セッションで例に上がっていたのは装飾画像のaltについてです。長年、装飾画像の alt は「空にする」が一般的でしたが、ある全盲のユーザーからは「装飾でも説明してほしい。以前は見えていたから、言葉があると頭の中で想像できる」との声があったそうです。

一方で、もちろん「余計な説明をするな!」という意見の人もいる。

同じ視覚障害者というカテゴリーでもニーズが全く違う、という当たり前だけど忘れがちな事実を改めて実感しました。

海外の現場で起きていること

海外の現場で起きていることとして3つが紹介されていました。

  1. accessibility is political(アクセシビリティは政治的である)
  2. burnout(燃え尽き症候群)
  3. trauma-informed design(トラウマを考慮した設計・デザイン)

特に印象的だったのは、「トラウマを考慮した設計・デザイン」の話です。

特に考慮すべき場面として、「行政・福祉・金融・医療」などのコンテンツがあります。

理由としては、「審査・評価・チェック・拒否」など権力の格差を強く感じさせる場面が多くなるためです。トラウマ記憶を連想させる可能性のある場面に該当するかどうか注意すること、設計・デザインにおいて慎重に検討する必要があると感じました。

効率面で使いやすいだけでなく、精神的にも安心して利用できるデザインを心がけていきたいと思いました!

スライドの画像。アーリーアダブターとは、最初に一歩を踏み出し、最初に「見える形」にする人たち。小さな成功体験を可視化して共有、「共感」で仲間を増やしていく、「一緒に学ぶ」という姿勢を見せる。完全無欠な実践者である必要はない。tra11y(トレイリー)もカラビナではアーリーアダブター。もっと社内も、そして社会も盛り上げていきます!

まとめ

あなたの「せかい」に何か刺激はありましたか?と書かれたスライドの写真 ミスティさんによると、2025年12月6日(土)は、一粒万倍日・大明日・母倉日・天恩日・友引と、5つの吉日が重なる「スーパー開運日」なのだそうです。新しいことを始めたり、何かをスタートさせたりするのに最適な、非常に縁起の良い日とのことでした。

そんな日に開催されたこのカンファレンス。これから一年、自分たちを含む参加者がそれぞれの立場から声を上げ、行動したら…?そうした活動が積み重なって、アクセシビリティが日本でもっと広がり、誰もがつながれる世界が少しずつ実現していくといいなと思います!私たちも頑張ります!

カンファレンスに関わられた皆さま、本当にお疲れさまでした。

来年の開催も、今から楽しみにしています!

【CM】カラビナテクノロジーではアクセシビリティ向上支援サービス「tra11y(トレイリー)」が誕生しました。アクセシビリティについてのご相談がある方はお気軽にご相談ください! tra11y(トレイリー)公式サイト

【CM】tra11y(トレイリー)について👇 誰もが使いやすいものを、日本でも当たり前につくりたい! アクセシビリティ向上支援チームtra11y(トレイリー)誕生秘話

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