水産業の未来を変える 業務システムのリプレイスでDX推進
株式会社豊洲漁商品産直市場
サイトを見る豊洲市場で買い付けた生鮮品を、自社配送している株式会社豊洲漁商産直市場。同社では、お寿司屋さんや居酒屋などの飲食店から、深夜にお魚の注文を受け、翌朝配送する必要があるタイムリーなオペレーションを行っていました。それを支えてきたのはスタッフさんの努力。紙作業が多く、ヒューマンエラーも出始めており、人力だけでは解決しなくなってきた課題を、抜本的なシステムリプレイスやiPadの導入など、DX支援を提案することで解決しました。
毎日パンクする電話回線、水辺に置かれた基幹システムサーバー
豊洲漁商産直市場では、豊洲で仕入れた新鮮な魚を、取引のある飲食店向けに電話注文で販売していました。
注文は、午後3時〜翌0時20分まで受け付けていましたが、毎日、回線がパンクするほどの盛況ぶり。一方で、ユーザーからは「電話が繋がらない」といったクレームが来るなど、機会損失していたり、口頭で注文を受けることによるヒューマンエラーが頻発しやすい状況にありました。
また、飲食店の料理長から注文を受けるには業界特有の知識が必要で、短期アルバイトには任せることができない業務内容となっており、優秀なスタッフが長時間対応する必要がありました。
注文は手書きメモからPCへ入力する必要があり、二重作業が発生していたり、基幹システムのサーバーが水辺にあるために情報管理の問題も抱えており、システムリプレイスは急務な状況でしたが、コロナ禍の売上減少により大規模な改善をするには予算も抑える必要があり、課題は山積みでした。
水産業のシステム化が難しい理由
水産業のシステム化には多くの課題があり、予算があってもサイト制作を引き受けるプレイヤーが少ない状況です。 例えば、鮮魚は重さで販売されるため、在庫管理が一般的なシステムとは異なり、半身や1/4サイズでの販売が必要です。 また、部位によって値段が変動し、飲食店の要望も異なるため、カスタマイズされたシステムが求められます。 さらに、海辺の職場では塩の影響でスマホが使えず、皆がガラケーを使用しているという状況もあります。
システムリプレイス後のユーザー負担を増やさず、DX化へ繋げる
今回は、予算を抑えつつカスタマイズしやすい業務システムを構築するため、kintoneとBカートを採用し、現場にはiPadを導入しました。これまでの複雑な商品在庫管理は、ExcelのようなUIで出来るkintoneを使い、受注は、Bカートをカスタマイズして制作しました。
これにより、これまで紙の情報を手入力していた作業が無くなり、注文ユーザー自身が入力した情報が自動で取り込ま れるようになり、電話回線のパンクによる受注機会ロスが減り、売り上げが向上。業務効率化とヒューマンエラー削減にも繋がりました。
毎日、電話対応に縛られていたスタッフの手も空き、別の業務に集中できるようになり、初めて育休を取得する社員も。また、iPad導入により、広い市場内でのスタッフの位置情報が把握でき、業務連携がしやすくなりました。
システム導入当初は、抵抗感を持つユーザーもいましたが、豊洲漁商産直市場のスタッフの皆様が、取引先にDXの必要性を訴えてくれ、カラビナでは新システムの使い方を説明するなど、スムーズなオンボーディングが出来、無事にBtoBシステムの開発・導入を完了させることが出来ました。
※こちらの事例は、株式会社コマースピックにて取り上げていただきました https://www.commercepick.com/archives/52448
お客様の声
「業務改善は気合で解決」といった水産業のDX化を実現したい。考えれば考えるほど途方に暮れていたあの頃、解決の糸口を掴んだのはカラビナテクノロジー社との出会いでした。 魚を知らないエンジニアと、システムを知らない魚屋が数え切れぬほど語り合い、未来を見据えたシステム構築の裏側には、険しい現実に徹底的に向き合い無理難題に挑み続けてくださったひとりひとりの本気の姿があり ました。 当社の水産事業に新たな可能性を生み出している現在、思い悩むよりも人と人とが出会うことで解決できることがある。 そんなことを感じています。
株式会社豊洲漁商産直市場 代表取締役 長野泰昌様
クレジット
クライアント
株式会社豊洲漁商品産直市場日本最大の市場である豊洲市場で、中央市場ならではの品揃えを提供している株式会社豊洲魚商産直市場。 独自ルートで開拓し続けている全国の漁師や漁協、 産地市場等と直結することで、産地や生産者の顔が見えると共に、活〆・神経〆・血抜き・活越し・今朝獲れ便等、 船上から始まる手当てと独自流通により、ワンランク上の 高品質・高鮮度な鮮魚を主に飲食店にお届けしている。地元しか流通しない珍しい魚介類も積極的に取り扱っている。
制作メンバー
ディレクション:fer
エンジニア:frank、 cub、 yosui、kimkim
デザイナー:kevin